「君も好きなことだけして生きていける」
なんて、甘い言葉につられて、またこの類の本を手に取ってしまった。
こういう類の話題は、理想論だと言われがちだが、
あくまで実現性をとことん考えた上で、僕はやはり「好きなことで生きていく」ということを現実的に突き詰めていきたい。
◆『働き方1.9』 / ヒロシ

著者のヒロシ氏に関してはもはや説明する必要はないと思うが、2004年頃だったか「ヒロシです」のネタでブレイクし、今はYouTubeの「ヒロシちゃんねる」でソロキャンプ動画などを配信し人気を博している。
元々好きでやっていたソロキャンプを動画で発信し続けることで、それが仕事になった。
2000年代中頃のブレイク全盛期、月4000万円を稼ぎ出した頃に比べれば収入は少ないが、それでも僕は、あの頃よりも気持ちよく仕事をすることが出来ている。
(中略)
好きなことをして、自分が満足できるお金を稼ぎ、日々を過ごしている。
『働き方1.9』
うん。
素晴らしい。
まさに理想の生き方だ。
しかし、
「好きなことで稼ぐ」
という言葉だけで完結してしまっては、あまりに短絡的すぎる。
●好きなことを通じて、自分はどんな価値を生み出せるのか。
●それを求めている人はいるのか。(ニーズはあるのか。)
●求めている人をどうやって探し出すのか。
●どういう方法で相手に価値を届けるのか。
●それをお金に換えること(マネタイズ)はできるのか。
一言で「好きなことで稼ぐ」と言っても、
「好きなことをする」→「稼ぐ」の間にはいくつもの因子が存在する。
理想を実現させるには、ここのギャップを埋めるための解決策をとことん考えて実践しないといけない。
◆厳選ポイント3つ
◆厳選ポイント◆
① スペシャリストになり、専門性で刺す。
② 無理のない範囲で始めて、複数のタネを蒔く。
③ 対象を変態的に好きになり、愛し抜く。
①スペシャリストになり、専門性で刺せ
まず、この本の中で繰り返し主張されていたのは
「専門性を極めよ」
「スペシャリストになれ」
といったことである。
もちろん、オールマイティに仕事ができるタイプの人はそれはそれで素晴らしいことだし、ゼネラリストを否定しているわけではない。
ただ、ヒロシ氏は自らを「職人気質」だと述べており、ゼネラリストとして戦うのは向いていないという風に書いている。
僕もどちらかというと「職人気質」で、自分の興味のあるものにしか打ち込めない。
これはもう性質的な問題だと思うし、そう簡単に変わるものではないと思う。
それをむやみに変えようとするのではなく、いっそのこと自分の興味のあるものだけに絞ってとことん打ち込む方が良い気がする。
いわゆる「専門性」とか「スペシャリスト」とかいうやつだ。
自分でそう言うのも恥ずかしいけど。。。
でも、いかにラクに戦えるかを考えるのは重要で、自分の苦手な分野ややり方で戦うのはどう考えても不利だ。
そのフィールドで頑張ろうとすればするほど、人生はハードモードになっていく。
僕の場合、コミュ力が低いので大企業の営業職とかはきっと無理だと思う。
悲しいかな。
そのフィールドで戦っていては勝てない上に、自分も消耗してしまう。
その一方で、僕は自分の好きなものに対してはとことん打ち込めるタイプだ。
文章を書くことは好きだから、こうやってブログを書き続けられる。
本を読むことも好きなので、こうして書評を書くことも苦ではない。
ランニングだって、やはり好きだからこうして14年も飽きもせずに走り続けているのだろう。
専門性で戦っていくならば、この性質はプラスに作用するはずだ。
②無理のない範囲で始めて、複数のタネを蒔く
とはいえ、冒頭でも述べたように、ただ「好きなことをする」だけで、それがすぐ「稼げる」に繋がるわけではない。
そこには
「好きなことを通じて、どんな価値を生み出せるか」
「その価値を求めている人がいるかどうか = ニーズがあるかどうか」
といったことが大きく関わってくる。
ここに関しては、もはや自分の頭の中だけでは答えは出ない。
自分の頭で考えられることは、せいぜい予測でしかない。
それにどれだけの市場価値があるのか。
どれだけの人のニーズに応えられるのか。
何が市場に求められているのか?
そんなことは試行錯誤を重ねて、経験値を稼ぐしかない。
「専門性で刺せ」とはいったが、それは脇目も振らずひたすら1つのことに打ち込め、ということではない。
自分の好きなこと、気になることがいくつかあるとして、それぞれをラクな気持ちで無理のない範囲で始めてみる。
芽が出たらそこに集中していけばいいのであって、初めはそんなに気張らずに取りかかることだ。
『働き方1.9』
ヒロシ氏もキャンプの他に、バンド、カフェの経営、英会話など様々なことに手を出してきたという。
ただ、結果的に「キャンプ動画」というコンテンツが市場でウケて、それが仕事になったということである。
ビジネス戦略的には手数を多く打っていくことはやはり大事だ。
そして、多くの手数を打つには、気負い過ぎず軽い気持ちで始めることがまずは大事とのこと。
周囲の目を気にしすぎたり、変なプライドや完璧主義で気負い過ぎてしまっては何事も始められなくなってしまう。
うんうん。
その通り。
③対象を変態的に好きになり、愛し抜く。
「好きなことで稼ぐ」
という理想の生き方が現実味を帯びてきたのは、インターネットの発達が大きな契機と言えるだろう。
「一億総発信時代」なんて意識高めな言葉もあるが、誰でも世界中に情報を発信できるようになった。
ネット上は、今まで世間に埋もれていた才能の塊たちで溢れている。
芸人は、テレビに出演せずともYouTubeで活躍できる。
漫画家は、大手雑誌に寄稿せずともネット漫画として自らの作品を世に出せる。
マスメディアに頼らずとも、自らの技術や存在感を世に示すことが容易になった。
また、そうした発信活動を行うことで、世界中の「同様の趣味を持つ人々」と繋がることが出来る。
「自分の好きなことを通して、世界中の人々と繋がれる」
これはもの凄いことだ。
自分の身の回りの狭い世界では、あなたの「好きなこと」が認められないことがあるかもしれない。
でも、世界中を見渡せば、どれだけニッチな趣味でも同様の趣味を持つ人は一定数存在する。
そういった繋がりの中では
「“好き”という気持ちが武器になる」
あなたが“好きなこと”を発信し続けていれば、
世界中の同様の趣味を持つ誰かが、あなたのコンテンツや想いに共感してくれて、そこに価値が生まれる。
すると、もしかしたらそれが仕事になるかもしれない。
スペシャリストに要求される専門性とは、対象をいかに愛し抜くかだ。
愛は文才やトーク力、それに容貌なんかよりも武器になる。
何かを変態的に好きになることが大切だ。
『働き方1.9』
僕も自分の“好き”をひたすらに伝え続けた結果、有り難いチャンスに恵まれたことがある。
僕は「走ること」と「旅すること」が好きだったので、勢い余って
「走って日本を縦断する」ということをした。
そして、その様子を5ヶ月間、毎日ブログで発信し続けた。
それを発信し続けたことがきっかけで知り合えた人もたくさんいたし、読者さんから「ブログ面白い」とか「感動した」とか言ってもらえたりした。
仕事の話もいくつか舞い込んできた。
人間の“好き”という気持ちは、時に他人の心を動かし、社会的な何かを動かすことがある。
今後はこの法則をもっと自分の経験に落とし込んで、実績に繋げたい。
実績とは、金銭的なものかもしれないし、それ以外のものかもしれない。
とにかく目に見える結果を残したい。
それが理想を理想で終わらせない方法だと思う。
◆まとめ
という感じで、まぁ僕が普段から唱えていることとほぼ同じ内容。
(というと、傲慢かもしれないが・・・)
ただし、実際にその信念で行動し続け、結果を出している人がこうやってアウトプットしてくれた内容というのはとても参考になる。
僕みたいにまだまだ大した結果も出していないペーペーにとっては、非常にモチベーションを高めてくれる内容だ。
このまま自分を信じて、自分で考えて、試行錯誤し続ける。
それでいいんだ、と思わせてくれた。
不安に押し潰されそうなメンタル貧弱な僕にとっては、こういうモチベーションを上げてくれる本も読まないといけないのである。