◆“何もない”を楽しむ宿

熊本県和水町に行ってきた。
大阪・淡路から友人ヨッシーさんが和水町の『THE スナフキンズ』に泊まりにやって来るということで、僕もタイミングを合わせて遊びに行くことにした。
ああ、そうだ。
その前に『THE スナフキンズ』ってなんぞや、って言うと、
僕は勝手に、“ただひたすらダラダラするための宿”と定義している。
あとは、
“何もないを楽しむ宿”とか、“保養所”とか“親戚のお兄ちゃん家”とかそういう位置付けである。
分かりにくいか。
そうか。
まぁこれからダラダラと書き連ねる記事で何となく雰囲気が伝わればいいと思っている。
和水に到着して早速『THE スナフキンズ』にチェックイン。
・・・しようかと思ったけど、オーナーのダイキさん不在。
なので、ダイキさんの奥さん、ミカさんが出迎えてくれた。
「チェックインはどうしたらいいですかー?」
とミカさんに尋ねる僕。
ミカさん:「えーと、どうしようかなー」
うぉーい、決まってないんかーい
・・・っていうこの緩さがいい。
僕はリピーターだからそういう対応なのかもしれないけれど、3年前に初めてスナフキンズに泊まった時もこんな感じの対応だった気がする。
良い感じにテキトーで、とにかくテキトーさが良い感じなのである。

結局、代金支払いとかは「後でテキトーに」みたいな感じになり、僕は荷物をドミトリー部屋に置いてサクッと1時間程走りに出かけた。
◆NHK大河『いだてん』金栗四三、生誕の地

実は、ここ和水町。
最近、『ランナーの聖地』ということで地域を売っていこうとしているようだ。
というのが、来年2019年のNHK大河『いだてん』の主人公、金栗四三(かなくり しそう)の出生地なのである。
金栗四三とは、
“日本マラソンの父”とか“箱根駅伝創設者”とか“世界で最も遅いマラソンの記録を持っている( 54年8ヶ月6日5時間32分20秒3 )”とかいう人だ。
僕はこの人物のことは中学生くらいの頃から割とよく話で聞いていたが、やはり相当マニアックな人物で、ランナーでもなければまず知らないだろう。




しかし、大河ドラマの効果ってかなり凄いらしい。
僕はテレビはかれこれ4年くらい持っていないから分からないのだけれど、相当凄いらしい。
どのくらい凄いのだろう。
あのマニアックな金栗四三さんがめちゃくちゃ人気者になるのだろうか。
どうなのだろうか。
とかなんとか考えながら、金栗氏の生家まで往復12kmラン。
澄んだ青空の下、和水の雑音のない田舎道を走り軽く汗を流した。

もし、大河ドラマ効果で人が増えすぎてこの静かな雰囲気がなくなってしまったら寂しいなぁ。
本当にコアな金栗ファンがぼちぼち来てくれるくらいでいいんじゃないか、という気もする。
◆夜ダラダラ

僕がランニングから帰ってくると、オーナーのダイキさんも帰ってきていた。
それからダイキさんが言う。
「おーお疲れー。ちょっと手伝ってー」
そして、なぜかそのままご近所さんのお宅にお邪魔し、お餅をこねっていた。
ランニング着のまま、上はウインドブレーカーで下はロングタイツという格好で初めましての方々とお餅をこねっている。
なんでこういうシチュエーションになっているのか詳細は不明だが、こういうことが普通に起こるのが『THE スナフキンズ』なのだ。


ご近所さんから、お餅、いちご、みかんをたくさん頂いた。

その後、三加和温泉でダラダラ入浴し、ダラダラとスナフキンズに帰る。

和水は、控えめに言って“ど田舎”。
なんにもない。
近くにはコンビニもないし、食べるところもないので、夕食はみんなでダラダラとお鍋だ。
地元の方々も交えてダラダラと話しながらダラダラと鍋をつついた。

カニ飯も優しい味で美味しかった。
これもご近所さんから頂いたらしい。
街灯の無い田舎の夜は真っ暗で静かだ。
スナフキンズでは初めましての方もお久しぶりの方もごちゃまぜだったけれど、そんなことは気にならない程に自然体。
時間は穏やかに優しく流れていき、夜は深くなっていった。
「長い旅行に必要なのは大きな鞄じゃなく、口ずさめる1つの歌さ。」
ムーミン谷のスナフキン