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ランニング日誌 Running Diary

“100kmマラソン”ではなく“16.5km × 6セット” 【壱岐ウルトラマラソン2018】

◆神々の島 壱岐ウルトラマラソン

“島に抗え”

 

いよいよ、『壱岐ウルトラマラソン2018』の日程が迫ってきた。

本大会は2年ぶり2回目の出場。

 

前回は何とか完走こそしたものの、60kmくらいで実質ノックダウン

後半は潰れた身体と心で地獄さながらの道をトボトボと歩いていた。

今回は、思うように走れなかった前回大会のリベンジを果たす機会でもある。

 

◆壱岐入り

10/19

さて、今回のパートナーともいえる、ふくちゃんと一緒にまずは福岡入り

ふくちゃんは初の100km挑戦

出身は僕と同じ鹿児島県

 

大会前日の調整ランとして12km = 65分程走る。

多分3年ぶりくらいの大濠公園ラン

大学時代、福岡に住んでいた頃はここでよくランニング仲間と距離走をしていた。

 

普段と違う土地で走ることで気分が高まる。

走っていると気持ちよくなってきて、うっかり3時間くらい走ってしまいそうだったが、明日100km走らなければならないので今日のところは60分程度で留めておいた。

 

博多港からフェリーで2時間半

壱岐郷ノ浦港に到着した。

料金はマラソン参加者割引適用で1600円程

 

壱岐到着後は、神社マニアのふくちゃんに付き合い、月読神社の発祥と言われる神社へ。

信仰心の薄い僕だが、明日の無事完走を祈願しておいた。

 

男嶽神社には猿の石像がたくさん。

卑猥なのもある。

展望台からの眺めは最高。

明日はこの島を一周するのだ。

100km

そうか、そうか。

まあ何とかなるだろう。

 

そして、大会受付を済ませ、ナンバーゼッケンゲット

このゼッケンには、呼んでもらいたいニックネームなどを記入することができる。

実際にこのニックネームで応援してくれるのでやっぱり嬉しい取り組みだ。

 

壱岐新聞には、なぜか僕のことが有力選手として紹介されていた。

ところが、僕なんかまだウルトラではまともに走れたことがない。

とんでもない買い被りである。

でも、よくチェックしてもらっているのは有難い。

ただ、フルマラソン自己ベストが2時間46分というのはもう4年程前の情報だと思うが・・・

 

前夜祭が始まり、去年まで阿蘇で毎週一緒に練習していたオグチさんとも合流。

他にも、各地の大会などで知り合ったランニング仲間と次々にお会いする。

ランニングが繋げてくれた縁で、ランニングライフはどんどん豊かになっていく。

 

また、地元の高校生のパフォーマンスや地元の大会関係者の歓迎ぶりにほっこり。

ブースにて、ミニサイズの壱岐牛ひきとおし鍋豆腐を頂き、それではちょっと足りなかったので帰り道のコンビニでおにぎりとパンも買い食いしておいた。

 

明日の100kmのスタートは早朝5時

明日の起床時間は3時半頃になるので、逆算すると21時には寝ておきたい

 

◆当日朝

さて、大会当日の朝。

予定通り3時半起床

もはや、朝ではなく、夜中だ。

 

とはいえ、今回の宿はスタート地点までが2kmちょっとなので割と近い。

これでもギリギリまで寝ていられる環境である。

 

ここで、もう一度おにぎりをいくつか腹に放り込む。

食べ過ぎで前半走れなくなりそうだが、オーバーペースを防ぐにはある意味良いかもしれない。

 

さて、次にすべきことは“股擦れ”対策。

前回は、“股擦れ”によって酷い目にあったので、今回その二の舞は避けたい。

ワセリンを股にベットベトに塗っておいた。

これでバッチリ。

 

股の話なんてしてないで早くレースの話に移れと思われるかもしれないが、本当に“股擦れ”は侮ってはいけない。

10時間とかそれ以上運動し続けるエンデュランススポーツにおいては、ちょっとした皮膚トラブルが致命傷になるのである。

 

お待たせ。

(待ってない。)

 

午前5時。

壱岐の島ホール。

100kmの部スタート。

 

今回は、とにかく安全運転で完走を目指す。

タイムや順位は二の次だ。

目安として、6分/kmを超えないペースで走り、エイド休憩も含め、平均6分/kmペース

つまりトータル10時間でゴールする計算。

後半余裕があれば、ペースアップしてサブ10(10時間切り)できたらいいなーという感じ。

 

また、今回の作戦は“エイドでしっかり休むこと”

心と身体のリフレッシュが完走の鍵だと考えたからだ。

 

そして、“100km”という距離を、どう考えたら気がラクになるか、考えていた。

そこで、今回試してみたのが分割法

“100kmマラソン”ではなく、“16.5km走 × 6セット”と捉えるのだ。

そして、エイドステーションが大体16.5kmごとに設置されているので、そこで毎回しっかり休むというわけだ。

 

「あと何km」などと、あまり先のことは考えない。

「今何km走った」などと、過去のことも考えない。

とにかく、今、目の前にある“16.5km”というセクションに集中する。

 

アドラー心理学でいうところの「今、ここ」を生きるというやつだ。

ウルトラマラソンは哲学のスポーツである。

 

約500名のウルトラランナーが、まだ暗闇の港町を走り続けている。

僕の走るペースは体感で5分40秒/kmくらいか。

GPSを作動させると充電が持たないので、今回はGPSウォッチでの計測はしなかった。

 

1時間程走って、辺りが明るみ出す。

日の出という時間帯は本当に美しく、新鮮な空気は心と身体を浄化させてくれる気がする。

 

距離にして10kmくらい。

小刻みで不規則なアップダウンが続く

 

壱岐ウルトラマラソンのコースは、獲得標高±2,600m程(上り:1300m、下り:1300m)

獲得標高だけで言えば、その辺のトレイルランニング大会よりも激しい起伏である。

 

周りのランナーとは、抜いたり抜かれたりしたが、他人は気にしない。

2年前の僕なら変なプライドで誰かと競り合っていただろうが、今回はとにかく自分との勝負。

マイペースに走り続けることだけを意識した。

 

淡々と走って、猿岩(18km地点)に到着。

うーん。

まだ身体が重い。

案の定、朝食がバリバリお腹の中に残っている。

若干気持ち悪い。

だが、そのおかげでオーバーペースは防げている。

 

まあ、まだ旅は始まったばかり。

絶景を楽しみながら走っていこう。

 

 

30km過ぎ

辰の島渡船場あたりから身体が軽くなり、元気になってきた。

エンジンがかかるのがやたら遅かった。

無理ない程度に徐々に動きのリズムを速くしていき、自然とペースアップ

5分20秒/kmくらいか(あくまで体感)。

 

勝本の小さな路地にて応援してくれていたイノウエさんから大きなパワーを貰った。

 

イルカパークまでの一本道を往復。

自撮りする余裕も出てきた。

ここは風が強いが、景色は最高。

リラックスしていこう。

 

その後、一旦グンと上り坂が現れ、再び下る。

と思ったら再び上り、また下る。

ジワジワと脚力が奪われていくが、まだ問題なくリズムを刻めている。

 

そして、50km地点

壱岐島開発総合センターに到着。

 

福岡からわざわざボランティアスタッフ&応援にきてくれたハヤシダさん。

今回、プロ並みのカメラマンの仕事っぷりを見せてくれた。

ありがとうございます。

 

何度も言うが今回はエイドでしっかり休むのが作戦。

遠慮なくカレーライスをがっつり頂いた。

 

美味い。

ようやく身体が軽くなったと思ったのに、カレーライスを食べたのでまた身体が重くなった。

 

ここで、ふくちゃんも50km地点に到着。

お互いまだ元気そうだ。

それぞれマイペースに刻んでいこう。

 

57km地点の左京鼻

ここにもカメラマン・ハヤシダさんがスタンバっており良い写真を撮ってくれた。

ここも坂道の連続でキツいところだが、応援と美しい景色で頑張れる。

 

さて、ここからは60kmを過ぎて、段々と気力がなくなっていき、写真を撮る元気もなくなってくる。

その中でも、応援に励まされながら、淡々と淡々と前へ進む。

疲労感はあるが、身体が止まるほどではない。

良い感じ。

 

67km地点の原の辻ガイダンス

よし。

16.5km走、4本目終了である。

 

そして、ここにもカメラマン・ハヤシダさんがスタンバイ済み。

プロ顔負け。

移動はロードバイク。

走れるカメラマン。漕げるカメラマンである。

 

そして、ここからはしばらく比較的平坦なコース。

脚が固まってきているが、動かし続けることはできる。

とにかく無心に。

 

70km地点通過。

と同時に、「残り30km」の表示。

 

いつも思うが、70km走ったところで「あと30km」と言われる意味が分からない。

 

 

写真はないが、筒城浜など美しい穏やかな沿岸を走り、80km地点を通過。

この時点で確かスタートから7時間55分くらいが経過していたと思う。

残り20kmを2時間で走れれば10時間切りが達成できる

 

ここに来てようやく、タイムを意識しだした。

6分/kmペースで走ればいいだけだが、ラストの10kmはとんでもない坂が連続するので、どれだけペースダウンするか分からない。

今のうちにある程度時間を稼いでおこう。

 

ということで、多分ここから5分20秒/kmくらいにペースアップ。

「お、普通に動くじゃん」

 

そのままどんどん押していき、あっという間に88km地点。

マリンパル壱岐に到着。

福岡時代のランニング仲間の応援に余裕で答えることが出来た。

 

また、監察車両に乗る大会スタッフからは

「動きが軽いね。今まで通過した人の中で一番動いているよ」

と言ってもらう。

 

確かに、相当前半~中盤の“安全運転”が功を奏したのだと思う。

脚に多少疲れはあるが、今が一番良いリズムで走れている気がする。

 

・・・と、調子に乗っていたのも束の間。

90kmを過ぎてからの激坂の連続は甘くなかった

1本目、2本目くらいまではなんとかリズムで駆け上がれたが、その後も続く小刻みなアップダウンに脚力が奪われていく。

 

多分、他のランナーと比べると、余裕はあって走れていた方だとは思うが、それでも僕も最後の最後に苦しめられた。

カーブの連続する山道でなかなか郷ノ浦の町が見えてこない。

しかし、距離表示は「残り3km」、「残り2km」と着実にゴールまでの距離は縮まっている。

 

「まさか、距離表示が間違っているんじゃないか?」

と思うくらい、ゴール地点のある町が見えてこないので心が折れそうになる。

 

しかし、残り1.5km

98.5km地点。

ようやく郷ノ浦の町に出た。

 

この橋を見ると

「ああ、帰ってきた」

という安堵感達成感開放感が、心の奥底から溢れ出てくる。

 

そして、ここにも

カメラマン・ハヤシダさん登場。

もはやプロじゃないか。

 

そして、ゴール!

 

この写真もハヤシダさんの撮影。

どんだけプロなんだ。

 

[結果]

100kmの部

 

記録 = 9:47:51 (グロス)
   9:47:38 (ネット)
種目順位 = 29位
年代順位 = 4位 (20代)

 

前半~中盤の安全運転、後半のペースアップのおかげで、初のサブ10(10時間切り)

当初の目標通り、最後までしっかり楽しむ余裕を持って走り切ることができたのでO.K。

 

 

使用したシューズは、

ナイキスピードライバル

普段のJog用シューズである。

 

使用した靴下は、

インナーファクト

やはりエンデュランス種目に強い

特に、エイドで脚に水をかけた時にすぐに靴下が乾くのは有難い。

不快感を後に引きずらない。

 

 

今回は、順位もタイムも二の次である。

ウルトラマラソンは「ただ速く走ればいい」というものではない。

純粋に走ることを楽しみ自分と向き合い、そこからどれだけ価値のある経験と感動を紡ぎだすか、だと思う。

 

ふくちゃんも10時間30分くらいの好タイムでゴール

初の100km、しかも壱岐のタフなコースでこのタイムは流石。

これからどっぷりウルトラマラソンにハマりそうだと言っている。

こうして、人はいつの間にか変態の世界へと誘われるのだろう。

お疲れ様です。

ナイスランでした!

 

ここでは全て紹介しきれない程、多くのランニング仲間と再会し、素晴らしい時間を共有できた『壱岐ウルトラマラソン2018』

これにて、閉幕。

 

ご一緒してくれたランナー、応援してくれた方々、スタッフのみなさん、本当にありがとうございました。

 

◆後日記

・・・と、締めると思いきや、最後にもう少しだけ。

お世話になった民宿『磯喜屋』さん。

仕事の合間を縫って、わざわざコース上で応援してくれた。

 

夕食はかなりボリューミー。

刺身の新鮮さに驚くばかり。

100km走って破壊された我々の身体組織を回復させてくれるリカバリー飯だ。

 

『磯喜屋』さん、ありがとうございました。

また遊びに行きます。