『ランニング飛脚便』 4日目<最終日> (10/15)
福岡県・大牟田市~熊本県・熊本市
●大牟田市発

5時半起床。
燃え上がる朝日に起こされる。

昨晩は最低気温9℃と、それほど寒くなく、野宿していても凍えることはなかった。
いつものように体操と筋トレで身体を温めながら目覚めさせる。

走り出す前にトイレを借りる為に寄ったコンビニで店員さんが声をかけてくれた。
「熊本まで手紙を届けに行っているところなんです」
と言うと、とても感心してくれて差し入れまで頂いた。

この旅で初の差し入れ。
一気に元気が出た。
朝からこんなに良い触れ合いができるのも「旅ラン」の良いところ。

7時半に大牟田市を出発。
早朝の空気を吸い込み、親切にしてもらったことなどを思い出す。
さあ、今日も元気よく走ろう。
●熊本県突入~予定変更

大牟田市を駆け抜けて、熊本県・荒尾市に突入。
いよいよ熊本県に入ったが、まだ県の北端に入ったに過ぎない。
目的地の熊本市まではあと40km以上ある。

荒尾市を走っている間にちょうど僕は迷っていた。
というのは、明日熊本市に到着するように走るか、今日熊本市まで走り切ってしまうか、ということであった。
元々この旅は、5日間かけて福岡から熊本まで走るという予定だったが、今日の走りの様子だと4日目の今日、熊本市までゴール出来そうな感じがしたのである。
ただし、今日中にゴールするにはあと40km以上走らなければならない。
つまり、今日一日で50km以上走ることになる。
ちょっと頑張らなければいけないが、意外と身体が元気だったので結局、今日ゴールの熊本市まで走り切ってしまうことにした。
僕は『ランニング飛脚便』の手紙受取人の方に到着が早まることをお知らせして、再び走り始めた。

荒尾市から玉名市にかけては大型車両の交通量が増え、また、歩道が狭いところも多々あり、肝を冷やす場面が多かった。
その一方で、車から声援を送ってくれる方もいて大いに力をもらった。

空は快晴。
気温はどんどん上昇していった。
身体も良く動いてくれて、5:30/kmペースで淡々とリズムよく走る。
20kmはあっという間に走ってしまった。
●玉東町

27kmくらいから脚が固まり始めたものの、この日は午前中に30kmちょっと走った。
時刻は午前11時。
それに思い返してみたら、朝起きてから一切飲まず食わずで走り続けていた。
どうやら僕は、空腹状態の方が走りやすいらしい。
とにかく、午前中で随分と距離を稼げたので、午後は余裕を持って走れる。
熊本市の隣町、玉東町で休憩した。

●熊本市

玉東町を15時過ぎに出発し、一路熊本市を目指す。

ほどなくして、熊本市に入ったのだが、熊本市の中心まではあと18kmある。
まだまだ気は抜けない。


秋を感じる風景を眺めながら、ほぼ無心の状態で走る。
脳の活動は結構エネルギーを食うもので、省エネで走りたいときは無心になるのが一番だ。
僕もこの時点で既に40km走っていたので、無心モードに切り替えて走っていた。

45km地点、ようやく熊本市街地が見えてきた。
デカい。
そして、ゴールが近づいてきたことの実感が少しずつ大きくなる中、僕は一歩一歩走り続ける。
この頃になると、アドレナリンか何かが分泌されたのだろうか、逆に身体が元気になってきた。
下校途中の小学生たちに声をかけてもらったりして、ラスト10km足らずの距離を走り切る為のパワーをもらう。
●『ランニング飛脚便』、完遂

熊本市中央区。
18時前、僕は無事に手紙を『ランニング飛脚便』で受取人の方に届けることが出来た。
この日走った距離:52km
福岡から走った累計距離:126km
かかった日数:4日
『ランニング飛脚便』、完遂。


今回、手紙を受け取ったくれたのはOさん。
ネットでの素顔公開は遠慮してほしいとのことだったので、このように書かせていただく。
今回僕が届けた手紙には、Oさんの愛犬・アラレちゃんの写真が5枚添えられていた。
手紙の送り主・園田くんは旅するカメラマンで、Oさんとは熊本で出会い、これらの写真はその時に撮影されたものである。

手紙を受け取ったOさんはとても喜んでくれて、僕をお家にもてなしてくれた。
調理師のOさんと一緒に夕食を作り、(と言っても手取り足取り教えてもらっただけだが)美味しく頂いた。
僕に『ランニング飛脚便』を依頼してくれた送り主の園田くんとも電話で話して、無事に手紙を届けることが出来たと報告するととても喜んでくれた。
「ありがとう」
その言葉は、「凄いね」と言われるよりも嬉しかった。
秋の訪れを感じさせる冷たい風が、疲れた身体を心地よく包んでくれた。
[4日目・走行距離:52km]
[累積走行距離:126km]
