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日本縦断ラン #DAY 11 – 2015.4.12
「頑張ってね」の解釈
広島県・三原市 → 広島県・福山市
■本日もウォーキング
先日は、脚の痛みをとるため、一日休養したわけだが、
・・・まだ痛い。
ほとんど治っていないじゃないか。
とはいえ、二日連続全く進まないわけにもいかないので、この日は終日ウォーキングで先に進むことにする。



午前4時に広島県・三原市を発つ。
早朝の瀬戸内海は静かだ。
朝焼けがあたりを照らしていく様子を眺めながら、一人黙々と歩く。
一日の始まりはこんなにも穏やかなのかと、なんだか気持ちが落ち着く。
早朝の冷たい風すら心地良い。
■広島県・尾道市





午前7時に、広島県・尾道市に到着。
レトロな雰囲気の港町だ。
実は、この尾道という地は、知人に勧められていたこともあり、以前から訪れてみたいと思っていた。
ゆっくりしていきたいところだったが、日曜の早朝だったこともあり、どこのお店も開いていない。
開いているのはコンビニだけだ。
町で唯一(?)のセブンで、とりあえず「尾道名物」らしきものを入手。

うん。
素朴さが良い感じで美味しかった。
それにしても、このあたりのコンビニは、品揃えが凄い。
特に、洗剤や衣料品などの生活用品が充実している。
ちょっとしたスーパーのような立ち位置になっているのだろうか。
コンビニの様子はそこの地域性をよく反映するというのが僕の持論である。
ちょっと意識して見てみると面白い。
■広島県・福山市



しばらく歩くと、福山市に入る。
久しぶりに、なかなか大きい街だ。
駅のすぐ隣に福山城があり、活気がある。
桜は散りかけていたが、福山城の周りは花見客で賑わっていた。
自分は歩き疲れてヘトヘトだったので、昼食をとったあと、福山城を眺めながら休憩。
ちなみに、昼食は広島に入って初のお好み焼き。
焼く過程を全て間近で見れるので面白い。
美味しくいただきました。
福山では、
「走って日本縦断してるの?凄いね。」
「頑張ってね。」
と、声をかけてくれる方が多く、とても力になる。
「頑張ってね。」
とは単純な一言だが、疲れ果てている人間にとっては絶大な効果があったりする。
以前は、そういった一言をプレッシャーに感じることもあったが、
最近は、
「(自分なりに)頑張ってね。」
という意味だと、勝手に自分の都合が良いように解釈している。
人からの応援がプレッシャーになるという人もいるが、
このくらいの緩い捉え方でも良いのではないか。
と、個人的には思っている。
■再びジョイフル
出来る限り進もうと歩き続けるが、脚の至る所が痛み出し、5km程行ったところでストップ。
歩きでも、1日中、40kmも歩くとなかなかの負担だ。
そして、今宵も再びジョイフルのお世話になる。
ここまで来ると、ジョイフルの回し者かと思われるかもしれないが、
一応否定しておく。
[11日目・走歩行距離:39km]
日本縦断ラン #DAY 12 – 2015.4.13
「バカになれる」走っている時間が好き
広島県・福山市 → 岡山県・倉敷市
■夜中3時にジョイフルを追い出され
ジョイフルで睡眠をとっていると、
店員さんに起こされて、
「お客様。当店ではお休みはお断りしてます。」
・・・はい。すみません。
本来の使い方とは違う使い方をしているのは自分なので、
何も文句は言えない。
大人しく支払いを済ませ、店の外へ。
ただ、
何も雨が降りしきる午前3時に追い出すことはないんじゃないか。
店内はガラガラである。
まあ、仕方ない。
そして、肝心の脚の状態も相変わらず良くない。
今日も走るのは無理そうだ。
■午前4時の国道2号線
この日も終日雨だった。
なかなか天候が安定しない。
あたりは暗闇の山道。
国道を走るのは、大型トラックばかり。
午前4時に雨に打たれながら、一人トボトボ歩く自分が流石に不憫に思えてくる。
ただ、自分で選んだ道。
誰のせいにも出来ない。
マイノリティーの道を行くとは、そういうことだ。
■岡山県突入
福山市を抜けた後は、岡山県・笠岡市に入る。
初岡山だ。
さて、コンビニとともに、そこの地域性がよく表れるのが、交通文化である。
広島では、歩行者専用の信号が少なかったが、岡山に入ると、徐々に歩行者専用信号が増えてきた。
車の走るスピードも少し遅くなった気がする。
電車やバスではなく、歩行者目線で旅をすると、こういうことによく気づく。
■金光教の町
雨がさらにひどくなり、休憩できるところはないかと立ち寄ったのが、
浅口市の金光町。
金光教という宗教が町の名前になっている。
今時珍しいな、と思いながら足を踏み入れる。
名前の通り、ここには立派な金光教の本部がある。
後でWikipediaで調べてみると、金光教とは幕末時に開かれた新興宗教の一つのようだ。
なんだか、町全体に金光教の文化が染み込んでいる感じで非常に興味深い。
ただ、休憩できそうな場所がなかったので、今回はゆっくりするのは見送った。
携帯の充電が切れていて、写真が撮れなかったのが惜しい。
■レトロな町・玉島
次に到着したのは、倉敷市の玉島。
ここもまたレトロな町である。
ここのレトロは、江戸時代劇に出てきそうなレベルだ。
どうして、ここまで昔の状態が残っているのかと不思議なくらいだ。
誠に個人的な所感であるが、岡山の町はなんだか謎めいていて面白い。
金光町にしても、玉島にしても、独特の雰囲気を醸し出している。
まるで、タイムスリップをした気分になれる。
時間にゆとりがあれば、もっとじっくり探索したい場所である。
■倉敷市
結局、倉敷市まで来てしまった。
この日は、44km歩いた。
我ながら、よく歩いた。
もうヘトヘトだ。
同じ距離なら、走った方がサクッと移動できるからある意味ラクだ。
10kmなら1時間ほどで走ることができるが、
10kmを歩くとなると、2倍以上の時間がかかる。
ウォーキングは、全体のワークアウト時間が長くなるという点でランニングよりもキツい。
ただ、いろいろ物思いにふけることができるのが、ランニングとは一味違う。
ランニングをしているときは、じっくり物思いにふけることができるほどの余裕はあまりない。
走っているときは、基本的にはバカになっているので、思考がシンプルになる。
歩いているときは、どちらかというと、複雑化して物事を考える。
どっちが良いというわけではないが、自分は普段から考え込んでしまうタイプなので、
「バカになれる時間」であるランニングの方が好きだ。
走っていると、いろいろどうでもよくなる。
と、ランニングバカな自分を再認識したところで、今日は倉敷駅近くのホテルで休む。
[12日目・走歩行距離:44km]
日本縦断ラン #DAY 13 – 2015.4.14
休む勇気も必要
岡山県・倉敷市 → 岡山県・岡山市
■休養について

相変わらず、左ひざは軋む。
それに、右足の甲の腫れがひどい。
休養も兼ねて歩いてはいるが、
なかなか走れる状態までは回復しない。
各方面の方々から、
「無理しないように」
「しっかり休んで」
といったお言葉をいただく。
自分としては、歩くことで休んでいるつもりだったが、
どうも脚は中途半端にしか休めていないようだ。
完全休養をとるべきか悩みながらも、結局歩いてしまう。
「休む勇気が必要」
とは、よく言われることである。
その所以は、大きく2つだろう。
①体力の低下に対する恐れ
僕みたいな凡才ランナーは日頃から走っておかないと、すぐに体力が落ちる。
ランニングは「走る」という単純な動作であるからこそ、
体調の変化に気付きやすく、体力の衰えにも敏感になる。
したがって、体力の低下を恐れて、休養をとることに抵抗を感じる。
②自らに課したノルマを達成できないことに対する罪悪感
罪悪感とまで言うと大げさかもしれないが、自分で決めたタスクを予定通りに消化できないと、あまり良い気分はしないものだ。
ランニングは、究極の自己肯定型スポーツだと僕は思っている。
自ら考え、練習メニューや目標タイムなどを設定し、実行する。
その成果が、タイムや順位などの数字として表れたときには、何物にも代えがたい達成感がある。
ランニングは、努力が成果として表れやすいスポーツである。
自己と向き合い、努力を重ねることで、人は自己肯定感を得られる。
逆に、設定した練習や走行距離をこなせない日々が続けば、自己肯定感が得られず、自己嫌悪に陥る。
だからこそ、予定外の「休養」をとることには、少なからず躊躇いがつきまとう。
と、長々と丁寧に説明させていただいたが、休養をとるにも相当の勇気が必要なわけである。
そして、そんなことを考えている間に岡山市まで20kmほど歩いてしまった。
今日はこれくらいにしておこう、と宿を探す。
■ゲストハウス「KAMP」




今回の旅では、野宿や、ビジネスホテル、ネットカフェに泊まってばかりで少々寂しかったので、この日はゲストハウスに泊まることにする。
ドミトリー式の相部屋なので低価格で泊まれる。その上、外国人を含め、多くの人と知り合えるので、個人的にはビジネスホテルよりこちらの方が好きだ。

ロベルトは、イタリアのお医者さんだ。
大学の医学部を卒業した後、日本を旅しているそうだ。
僕が走って日本縦断していることを伝えると、
僕は「ジャパニーズ・フォレストガンプ」ということになった。
いいね。
せっかく海外の友人も旅のレポートを楽しみにしてくれているので、
このブログの英訳版を書いてみても良いかもしれない。
[13日目・走歩行距離:20km]
日本縦断ラン #DAY 14 – 2015.4.15
頭に栄養を
岡山県・岡山市
■完全休養日
なんだか、最近休養ばかりとっている気がするが、この日は走りも歩きもしないことにする。
いわゆる完全休養だ。
これだけ走らない期間が続くのは本意ではないが、
「休む勇気も必要」
と、自分に言い聞かせる。
ちょうど、福岡の友人が岡山で新しく務める会社の研修を受けているということで、夜に会う約束をする。
それまでの間は、岡山市内でゆっくりすることにする。
■読書タイム
そういえば、4月に入って本を1冊も読んでいない。
完全に活字離れしてしまっている。
頭に栄養を与えるつもりで、古本屋にて本を2冊購入し、一気に読了。

1冊200円で、計400円
『働かないアリに意義がある 長谷川英祐』
働かないアリ=自分、と見立てたのか、自らを慰めるかのように購入。
個人的にポイントは2つ。
・働かないアリが、「余力」として存在している方が、社会は長続きする。
・効率性の追求には限界がある一方で、「無駄」に思えるようなことが、社会の進化の可能性を拡げる。
生物界全体の歴史に比べたら、人類の歴史はちっぽけである。
社会の構造を考える上で、生物学から学べることは多いのではないか。
『海も暮れきる 吉村昭』
小豆島で晩年を過ごした文豪・尾崎放哉の死を描く。
ちょうど、自分が明日、小豆島付近を通過するということで購入。
死に際の人間と、その荒んでいく様子が描かれているが、
自然と今の自分の生き方も考えさせられる。
「死」は、生きることの一部である。
「死」を意識することで、「生きる」ことをもっと大事にしていきたい。
■福岡の友人と岡山で
夜は桑原くんと会う。

大学時代、同じ陸上競技部に属していた。
僕に負けず劣らず、走ることが大好きである。
社会人としての新生活についての話を聞き、楽しくやっているみたいで何よりだ。
みんな、それぞれの道を歩んでいるなあ、としみじみ思う。
それぞれのフィールドでお互い輝いていたいものだ。
Tシャツに寄せ書きも書いてもらった。

「休む勇気も必要」
まさに、今の自分にピッタリの言葉をいただいた。
ありがとうございます。
[14日目・走歩行距離2km]
日本縦断ラン #DAY 15 – 2015.4.16
「走る」という不思議な行為
岡山県・岡山市 → 岡山県・日生
■岡山市発

身体の疲れはだいぶとれた。
上半身はばっちり元気だ。
問題は、膝から下である。
恐る恐る走ってみる。
お、なんとか行けそうだ。
久しぶりに走れたことに感動する。
走れなくなったときに、走れることの貴重さを感じるものだ。
・・・と思ったのも束の間。
4km程行ったところで、左ひざが再び軋み始める。
しばらく我慢して走ってみるが、
これは無理なやつだ。
またしても止まってしまう。
だが、歩きなら問題はなさそうだ。
それからしばらく、ちょこっと走っては、歩いて、を繰り返す。
本当に、普通に走れることってそれだけで素晴らしいことなんだなあ、と痛感する。
もはや、「走って日本縦断」というテーマが覆ってしまいそうなくらい、
歩いてばかりで、なんだか不甲斐ない。
■「走る」という不思議な行為

新幹線の線路沿いに歩いていたが、
トボトボ歩く自分をあざ笑うかのように、スィーっと新幹線が通り過ぎる。
勝手に疎ましい。
(いや、新幹線は全く悪くないが。)
そうだ。
人類は歩いたり走ったりしなくてもいいように、
車や電車を発明した。
それなのに、どういうことか。
自分は頑なに、交通機関に乗るまいと走り続けている。
世間では、42kmも走るフルマラソンの大会に大勢の人々が、決して安くないお金を払ってエントリーする。
人気のある大会では、参加募集が始まってわずか数分で定員に達する。
いわゆる「クリック戦争」だ。
それまでに、「走る」ことが人間を惹きつけるのはどういうことだろうか。
■備前市、日生
備前市を経て、日生へ向かう。
岡山県と兵庫県の県境にある町、日生。
静かな港町で落ち着く。
個人的に面白いと思ったバス停があったので紹介したい。


手作り感満載のバス停に妙に惹かれた。
■日生のコンビニで出会ったおば様の話
日生のコンビニで休憩しながら、地元のおば様とお喋り。
見ず知らずの自分に、戦時中の身の上話までしていただいた。
明るく話されてはいたが、やはり当事者の語る言葉は重い。
戦争の時代を経験していない上に、豊かな日本しか知らない世代の自分には到底理解できないことなのかもしれない。
当事者の想いを受け止めて、どういう未来を創っていくか考えていくしかないと思う。
そして別れ際に
「今はこれだけしか持ち合わせていないけど、旅の資金にしていきなさい。」
と、千円札1枚と、いくらかの小銭を渡された。
なんで、見ず知らずの自分にそこまで・・・。
日本縦断をする中で、こんなにもらってばかりでいいのか、というくらいもらってばかりだ。
この「ギブ・アンド・ギブ」精神があれば、戦争など起こらないような気もするが。
とにかく、感謝しきりである。
これから、この受けたご恩を何かしらの形で還元していきたい。
■日生にて、福岡の友人と再会
日生でも、福岡の友人が新社会人として働いていた。

大庭くん。
福岡市が行う学生の起業支援事業で、別プロジェクトではあるが、お互いに活動していた。行動力にあふれ、尊敬する友人だ。
この日は会社の飲み会があるそうで、僕は日生駅で仮眠をとりながら待機。
すると、夜11時頃、なんだか騒がしいので、目が覚めた。
地元のヤンキーがたむろしている。
うわ、絡まれたら面倒くさそうだ。
といっても、駅で寝袋に包まって寝ているのは自分である。
格好の絡む対象でしかない。
とりあえず、寝たふりをする。
多分、それが最善の策だった。
なんとかやり過ごした。


12時前に大庭くんと合流し、この日は彼の家に泊めてもらった。
野宿だと海風が寒かっただろう、助かった。
ありがとうございます。
ちなみに、ここでは野生の鹿が目の前を普通に横切る。
あと、黒豚もいた。

もののけ姫の世界のようで、たまらない。
[15日目・走歩行距離:38km]
日本縦断ラン #DAY 16 – 2015.4.17
関西突入
岡山県・日生 → 兵庫県・姫路市
■日生のスクールゾーン
午前6時過ぎに日生を発つ。
大庭くんからもらった湿布を痛みのある箇所に貼るも、まだ走れる状態ではない。
仕方なく、昨日同様ひたすら歩く。
一本道では、通学中の子供たちとよくすれ違うが、
みんな、見ず知らずの自分によく挨拶をしてくれる。
最近の都会では、知らない人には声をかけないように、
という指導がされたりもするようだが、そういうことを聞くとなんだか寂しい。
■ついに関西突入
しばらく歩くと、兵庫県・赤穂市に入る。
ついに、関西突入だ。

自らの脚だけで旅をしていると、一つの目的地に到達するだけで、かなりの喜びがある。
交通機関でひとっ飛びしてしまうのとは、わけが違う。
かつて列車もなかった時代の旅人も同じような気分だったのだろうか、と歴史に思いを馳せてみる。
周りから聞こえてくる言葉も、いよいよ関西弁に変わった。
■まさかの転機

赤穂市で休息をとった後、もう一度走ろうと試みる。
おや、今度はいけそうだ。
さっきまで痛かったのに。
どうやら走り方に問題があったようだ。
膝から下には、ほとんど力を入れず、ほとんど摺り足で移動する。
大腿や大殿筋を上手く使いながら走ると良さそうだ。
まあ、それは理屈的には当たり前のことで、
膝下の小さな筋肉よりも、大腿や臀部などの大きい筋肉を使った方が効率的だ。
だが、頭では分かっていても、実際に身体を動かすのは相当に難しい。
今のうちにこの走り方を身体に覚え込ませなければ。
ともかく、ひとつ大きな壁を乗り越えたようで嬉しかった。
1km7分半くらいのペースでそれほど速くはないが、以前は1km10分かかっていたことを考えると上出来だ。
歩いているときとは全然違うスピード感に感動する。
だが、調子に乗りすぎてはいけない。
まだ左膝に違和感は抱えたままだ。
慎重にいかなければ。
■人生、思い通りにいかず
・・・と良い感じに走れていたのだが、
それも12km程度しか続かなかった。
またしても、左膝が痛み始める。
ううむ。
人生、思い通りにいかず。
再び、黙々と歩き始める。
この日の終着点は、兵庫県・姫路市。
明日、また良くなっていることを祈る。

[16日目・走歩行距離43km]
日本縦断ラン #DAY 17 – 2015.4.18
この疲労感がたまらない。
兵庫県・姫路市 → 兵庫県・明石市
■姫路市郊外のカラオケからスタート
昨日は野宿を試みたが、深夜2時頃、寒すぎて起きる。
あまりにも冷え込んでいたため、屋内の宿を探し、カラオケに駆け込む。
近くにあって助かった。
翌朝、少し走ると姫路市内に入る。
かの有名な姫路城をバックに一枚パシャリ。

改装したばかりということで、観光客が非常に多かった。
いや、それにしても確かに綺麗な形のお城だ。
ゆっくり見て回りたいところだったが、少々予定より遅れているので、先を急ぐ。
■ようやく膝の痛みを克服?
走りの方はというと、徐々に左膝の痛みをうまく庇いながら走れるようになってきた。
しばらく走っては、歩いて、を繰り返していたが、走る時間のほうが歩く時間よりも増えてきた。
良い感じだ。
周りの景色も楽しむ余裕が出てきた。
だが、ペースは相変わらずゆっくりだ。
多分、1kmを8分半くらいのペース。
この日本縦断ランを始める前は、もっと颯爽と日本中を駆けている自分をイメージしていたが、
現実は思った以上に泥臭いものだ。
誤解を恐れずに言えば、ランニングは地味で泥臭い。
もちろん爽やかで素晴らしいスポーツでもあるが、それは一側面でしかない。
だが、その泥臭い部分もまるごと含めて、走ることを楽しむことが重要だと思っている。
何事にも光と影があるものだ。
光の部分だけを見て、幻想を抱き続けるのは危険だと思う。
実はこのブログを書きながら、そうした現実的側面も伝えていけたら、と思っている。
■加古川
加古川付近のセブンにて、通りがかりの人が話しかけてくれた。
この方も日頃から走っているそうで、応援の言葉とコーヒーを頂いた。

こうしたひとつひとつの応援が本当に身に沁みる。
この感情こそが財産だと思う。
そして、しばらく走り加古川を渡る。
走っていてとても気持ちの良い景色だった。
やはり走ってみないと分からないものがある。

■兵庫県・明石市
そして、本日のゴールは兵庫県・明石市。



今日は後半はほとんど止まらずに走ることができて、
久しぶりに、よく走った感がある。
今日はぐっすり眠れそうだ。
この疲労感がたまらない、というのも走ることが止められない理由のひとつだ。

ふわふわ玉子で焼いた明石焼を美味しくいただいて、
駅近くのネットカフェで休む。
[17日目・走歩行距離:43km]
日本縦断ラン #DAY 18 – 2015.4.19
一歩一歩進むことで、目的地は必ず近づいてくる。
兵庫県・明石市 → 大阪府・大阪市
■雨のなか、明石から神戸へ
再び雨だった。
本当になかなか天候が安定しない。
そして、雨のためか、膝の軋みも昨日よりひどい。
我ながら、老人みたいなことを口にするようになってきた。
明石からしばらく歩いて、神戸に到着する。

貿易港として栄えてきた神戸ならではの街並みが目を引く。
見どころはたくさんあったが、今日中に大阪に着かなければいけないので、先を急ぐ。
■意外と遠かった大阪
昨日、大阪にいる知人の方に
「明日には大阪に着くので、会いましょう」
といったメッセージを送っていた。
地図で見る分には、40kmくらいかと勝手に思っていたが、
道中の標識を見ると、
大阪まで50km。
おお。
自らの脚だけで移動していると、この10kmの勘違いはデカい。
しかも、膝の調子があまり良くないので、速くは走れない。
1km10分近いペースで、チョコチョコと走る。
恐らく、自分が走れ得るもっとも遅いペースだ。
だが、このペースで走っていけば、夕方には大阪に着きそうだ。
一歩一歩着実に歩を進める。
歩いたり、走るペースが遅かったりすると、当然目的地までの所要時間は多くなる。
目的地までの所要時間が多くなると、筋肉の強張りがひどく、速く走るのとは違う辛さがある。
この日は結局、12時間近く移動し、後半は脚の感覚が痺れ、何度も倒れるかと思った。
通りすがりの人から
「頑張ってねー」
と声をかけられる度に、めげそうになる自分を奮い立たせる。
■ランニングが教えてくれること
そして、ようやく大阪が近づいてくる。

大阪まであと12km。
そういえば、岡山で初めて「大阪」の標識を見た時にも写真を撮った。

大阪まであと136km。
このときには、大阪まで136kmなんて途方もない距離だなぁ、と感じていたが、
こうやって一歩一歩進んでいくことで、必ず目的地は近づいてくる。
ランニングは、日頃の積み重ねが大事だということをいつも思い出させてくれる。
■大阪着
18時頃、大阪市内に到着。



結局、半日かけて到着した。
おぼつかない足取りで、市街地までもう少し走る。
■ランの大先輩と
夜は、福岡で知り合ったランの大先輩・三井さんとお会いする。

日本および海外、様々なマラソンの経験が豊富な方である。
そして、福岡市内の大濠公園にて、毎朝5時55分から走る
「大濠555」
というランニングチームの運営もされている。
僕も何度か参加させていただいた。
(参加頻度は、あまり高くなかったが…)
とにかく、多くの福岡のランナーに慕われている方である。
今春から大阪勤務とのことで、急な連絡にも関わらず、夕食をご一緒させていただいた。
ありがとうございました。
お身体に気を付けながら、新天地でお仕事もランも頑張ってください。
もうクタクタなので、今晩は大阪市内のゲストハウスに泊まる。
[18日目・走歩行距離:53km]
日本縦断ラン #DAY 19 – 2015.4.20
刺激的な毎日を送れているか
大阪市内
■休養日は、時間が過ぎるのが早い
今日は、天気もずっと雨ということで、休養日とする。
溜まっているブログ更新などもしなければならない。
朝はゆっくり起床。
というか、気付いたら10時だった。
相当疲労が溜まっているのかもしれない。
その後、黙々とブログ更新等を進めていく。
そのうちにあっという間に15時。
毎度のことながら、休養日は時間が過ぎるのが早い。
新しいことを経験していないときは、時間が過ぎるのが早く、
新しい経験に溢れている時間は過ぎるのが遅いそうだ。
小学校時代の夏休みが異様に長かったのもそのためらしい。
幸い、僕はこの日本縦断ランをしながら、毎日刺激的な経験に満たされている。
気付いたら一日が終わっていた、ということはあまりない。
普段の生活でも、こういう日々の過ごし方をしたいものだ。
■大学時代の先輩と

夜は、大学時代の先輩、福重さんと会う。
いつも僕のことを「変態」と褒めて(?)くれる先輩だ。
沖縄出身ということで、地元も近い。
そして、福重さん行きつけのお店に行き、魚料理や串カツを美味しくいただく。
お店の人や初対面のお客さんとも仲良くなり、Tシャツにメッセージまで書いてもらった。

日本各地でこういう輪が拡がっていくのが嬉しい。
大阪にもまた一つ帰る場所ができた。
とても美味しかったです。
また遊びにいきます。
[19日目・走歩行距離:2km]
日本縦断ラン #DAY 20 – 2015.4.21
暗(くらがり)峠を越えて、悟りを開く。
大阪府・大阪市 → 奈良県・奈良市
■まずは、大阪城へ
昨日は一日中雨だったため、あまり街を見て回れていない。
大阪を発つ前に、大阪城を一目見ておこうと足を運ぶ。
中国人観光客の多さが半端なかった。
本当にここは日本か、と疑いたくなるレベルだ。

人が多いところはあまり好きじゃないので、
とりあえず、大阪城をバックに一枚写真を撮って、先に進む。
■暗峠(くらがりとうげ)を経て、奈良県へ
大阪から奈良県へ脚で行くには、暗峠(くらがりとうげ)というところを越えなければならない。
通称、「暗越え」である。





国道とは思えないほどの道の狭さ、急斜面であったが、趣がある。
まさに旅をしている、という気分になれる道だ。
車で高速車道を通ってしまうのでは、経験できない。
しかし、この暗峠、傾斜が物凄い。


この辺なんかは、地面に手をついてしまいそうなほどだった。
ほとんど登山に近い。
と、なかなかタフなコースではあったが、周りは自然に囲まれていて、とても気持ちが良い。
川のせせらぎ、小滝の流れる音、鳥のさえずりが絶え間なく聞こえる。
ウォークマンなど必要ないほどの贅沢な生BGMだ。


そういえば、今回の日本縦断ランでは、僕はウォークマン等を持ってきていない。
音楽を聴きながら走ることは、今のところ一切していない。
せっかくの日本縦断なのだから、耳は塞がずに現場の生の音を聞きながら走っている。
ちょうど日本縦断ランに出発する直前に、僕のウォークマンが壊れてしまったのも何かのメッセージのような気がする。
そして、ここが暗峠の頂点。


ここからは、奈良県は生駒市だ。
■もうひとつ、峠越え
生駒市で一旦街に出るが、すぐにまた峠を越えなければならない。


これまた森に囲まれたコースだ。
自然の音を聞きながら、ひたすら歩を進める。
時には、小休憩をしながら。

弘法大師って日本のあらゆるところを歩いているなあ。
確かに自分の脚だけで旅し続けていると、何か達観したような気分になる。
自分も、山の中を何時間も歩きながら、勝手に悟りを開いてしまいそうだ。
一真教(いっしんきょう)とか、ありそうだな。
…ないか。
■奈良市入り
峠を越え、奈良市に入る。

さすが奈良。
あらゆるところに立派なお寺がある。



すき屋は茶色くなり、ファミリーマートは濃緑色になり、ダイソーも茶色くなる。
風致保全だろうか。
面白い。
この日、ここに至るまであまり距離は踏めていないが、急な上り下りを繰り返してきたので、脚へのダメージは大きい。
大宮駅近くのカラオケで休む。
[20日目・走歩行距離:35km]