走×旅 ~Running Journey~
迷走し続ける旅ランナーのブログ
アフィリエイト

6種類のペースを使い分けて、効果的にトレーニングせよ『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』【解体新書②】

 

どうも。
ウエハラです。

タイトルに数字を入れると良いみたいだね。
っというわけで付けてみた。

『6種類のペースを使い分けて、効果的にトレーニングせよ』

 

今回も『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』を自分なりに解体してまとめた記事である。

 

これだけ「ダニエルズ、ダニエルズ」とばかり言っていると、お前はダニエルズ信者かと思われてしまいそうだが、僕はあくまで参考にしているだけであって、自分なりに考えて応用を効かせるのも大事だと思っている。

 

何事も教科書通りに上手くいくことはほとんどないので、そこは臨機応変に調整しながらトレーニングしていこう。

 

という前提で話を進めていく。

実際にこの記事でも僕なりの解釈を付け加えているので、ご了承いただきたい。

 

ダニエルズのランニング・フォーミュラ第3版

ダニエルズのランニング・フォーミュラ第3版

  • 作者:ジャック・T.ダニエルズ/篠原美穂
  • 出版社:ベースボール・マガジン社
  • 発売日: 2016年03月18日

 

◆Ⅰ. ペースによって得られる効果が異なる

『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』【解体新書①】では、以下のような記事を書いた。

自分の適正ペース知ってる?VDOT計算ツール活用のすすめ。『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』【解体新書①】 ◆自分の「適正ペース」知ってる? あなたは自分の「適正ペース」を知っているだろうか? もし、あなたがマラソンで目標とする記録...

 

世の中には様々な走力レベルのランナーがいる。

それらの異なる走力を持ったランナー達に対して、一律に「このペースで走れば速くなる」なんていう絶対的なものはない。

 

例えば、4分30秒/kmというペース。

これはランナーXさんにとってはトレーニングとして丁度良いペースだ。
しかし、ランナーYさんにとってはそれは速過ぎるペースだということがある。

 

そして、この異なる走力の2人に対して「4分30秒/kmで走りなさい」と言って同時に走らせた場合、Xさんにとっては良い練習になるが、Yさんにとってはただキツいだけの練習となってしまう。

まず、決められたペースで練習を走れるかどうかも怪しいし、たとえ走り切れたとしても過度に疲労が溜まり、怪我に繋がる。

さらに、思うように走れなかった時は、精神的なダメージも受ける。
これでは、自分の走りに対して良いイメージは生まれない

 

要するに、それぞれの走力レベルに応じた「適正ペース」というものがあるのだ。

自分の「適正ペース」を把握した上で、それぞれの練習に目的意識を持って取り組むことが、練習効果の最大化に繋がる。

 

そして、「適正ペース」にもいくつか種類があり(ここでは6種類に分ける)、それぞれのペースによって得られる練習効果は異なる

だから、トレーニングの目的/内容によってそれぞれのペースを使い分けていく必要がある。

 

まとめるとこんな感じ。

 

・『ダニエルズ理論』上の、走力指数VDOTを活用し、自分の走力を知る。

・自分のVDOT走力に応じた「適正ペース」を把握する。

6つに分類した「適正ペース」トレーニングの内容によって使い分ける

 

では、これ以降は

 

・ランナーAさん→フルマラソン2時間30分切り(サブ2.5)目標

・ランナーBさん→フルマラソン3時間oo分切り(サブ3)目標

・ランナーCさん→フルマラソン4時間00分切り(サブ4)目標



と異なる走力レベルを持つ3人のランナーを例に挙げて見ていく。

 

※ちなみに、僕のフルマラソンの目標は2時間30分切りなので、ランナーAさんは僕自身を想定している。

 

◆Ⅱ. 6種類のペース

ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第3版 / ジャック・ダニエルズ
p.80

 

まず、上記3人のそれぞれの目標を達成するためにどれくらいのVDOT走力が必要か見てみよう。

 

『ダニエルズ理論』のVDOT表によれば、

 

・ランナーAさん→VDOT 67 (フルマラソン2時間28分40秒)

・ランナーBさん→VDOT 54 (フルマラソン2時間58分47秒)

・ランナーCさん→VDOT 39 (フルマラソン3時間54分34秒) 

 

という数値が算出される。

 

では、以下の6種類それぞれのペースにおいて、3人の「適正ペース」も見てみよう。

 

なお、ここで言う「適正ペース」とは、フルマラソンでの目標タイムから算出したものなので、いわば「このペースで練習できれば、目標のタイムを達成する可能性が高いですよ」といった推測値である。

必ずしも現状の段階ですぐにこのペースで練習しないといけないというわけではなく、それぞれの目標レースの時期にそのレベルまで達していれば良い

 

①ジョグ (Jog) ペース

 

「ジョグペース」とは、普段のジョギングで走る時のペース

僕の言葉で言えば“頑張らなくても走れるペース”だ。

 

オリジナルの『ダニエルズ理論』では言述されていないのだが、僕はこのペース域もそれぞれで認識しておいた方が良いと思う。

というのは、次に紹介する「イージーペース」が、個人的に全然イージーではないからだ。

 

つまり、この「ジョグペース」はウエハラオリジナルの設定である。
下に記すタイムも単に「イージーペース」に+45秒しただけであり、その計算式には根拠がないのであくまで参考にする程度に留めていただければと思う。

疲れている時は以下の設定ペースより遅く走っても良いし、体調が良ければ以下の設定ペースよりも速めに走っても良い。

 

普段のジョギングでは、走るペースが体調の変化によって大きく左右される

だから、ここではペース設定に幅を利かせて、あまり神経質にならない方が良いと思う。

 

また、LSD (Long Slow Distance=ゆっくり長距離を走る)LST(Long Slow Time=ゆっくり長時間走る)といった練習ではもっと設定を遅くしても良い。

なお、これらの練習では、長時間身体を動かし続けることで、毛細血管の発達脂質代謝の促進といった効果が期待できる。

 

・ランナーAさん→ 5分09秒~4分37秒/km (VDOT 67)

・ランナーBさん→ 5分59秒~5分23秒/km (VDOT 54)

・ランナーCさん→ 7分31秒~6分48秒/km (VDOT 39)

 

②イージー (Easy) ペース

 

「イージーペース」とは、『ダニエルズ理論』によれば、“ラクに走れるペース”
本の中では、このペースで走る練習が全体の練習の大部分を占めるようにと書いてある。

 

しかし、先述した通り、個人的にこのイージーペースは、決してラクとは言えない

いや、体調の良い時はラクに感じられることもあるだろうが、普段のジョギングや疲労が溜まっている時でもこの「イージーペース」を忠実に守って走り続けていたらおそらく練習強度が高すぎて怪我や不調に繋がってしまいかねない

 

僕はフルマラソンを2時間37分台で走るので、そのVDOTにおけるイージーペースは4分38秒~4分05秒/km

しかし、普段のジョグもずっとこのペースで走れと言われれば結構しんどい。
僕は疲労感ががある時のジョグは普通に6分/km以上かかるペースで走っている。
早朝に走る時はペースが上がらないなどコンディションに左右されることもある。

 

だから、そういうときは①で紹介したジョグペースのざっくりとしたペース感覚、むしろペースも気にしないくらいラクに走る日があっても良い。

 

というわけで、前置きが長くなったが、この「イージーペース」を僕なりに解釈するなら“速めのジョグペース”

キツくはないが、少し集中して走る必要があるくらいのペースだ。

 

ただ、この「イージーペース」も「ジョグペース」と同じくトレーニング全体の基礎を作り上げる重要なペース域には違いない。

「ジョグペース」と同じく、毛細血管の発達、心筋強化、1回血液拍出量の増加といった効果が期待できる。

 

数値で表せば、

VO2max(最大酸素摂取量)の59~74%


HRmax(最大心拍数)の65~79%

 

・ランナーAさん→ 4分24秒~3分53秒/km (VDOT 67)

・ランナーBさん→ 5分14秒~4分38秒/km (VDOT 54)

・ランナーCさん→ 6分46秒~6分03秒/km (VDOT 39)

 

③マラソン (Marathon) ペース

 

「マラソンペース」とは、その名の通り“マラソンでのレースペース”のことなので非常に分かりやすい。

この「マラソンペース」こそがフルマラソン本番で走らなければいけないペースなのだから、このペースで42.195km走り通せる力を身に付けるイメージを持って練習に取り組むと良い。

 

トレーニングへの組み込み方としては、秋以降涼しくなる時期から、
12000~16000mのペース走を行う時に、マラソンペース~それよりやや速めのペースで走れると良いだろう。

 

また、20~30kmのペース走の時に、マラソンペースよりやや遅め~マラソンペースを走れると良い感じだ。

 

数値で表せば、

VO2max(最大酸素摂取量)の75~84%

HRmax(最大心拍数)の80~89%

 

・ランナーAさん→ 3分31秒/km (VDOT 67)

・ランナーBさん→ 4分14秒/km (VDOT 54)

・ランナーCさん→ 5分37秒/km (VDOT 39)

 

④閾値 (Threshold) ペース

 

「閾値ペース」とは、“20~30分間運動を継続できるペース”だ。

 

生理学的に言えば、この運動強度は、

乳酸の分解が追い付かなくなり、体内に乳酸が蓄積され始めるポイントであり、「LT(Lactate Threshold)値」=「乳酸性作業閾値」とも呼ばれる。

 

この「閾値ペース」は、このラインを超えると身体がどんどん動かなくなっていきますよ、というイメージなのだが、これはトレーニングによって向上させることができる。

閾値ペース周辺の運動強度でトレーニングを継続することにより、体内での乳酸処理能力が向上し、乳酸が貯まりにくい身体になっていくのだ。

 

閾値ペースでのランニングを繰り返すことによって、キツいと感じ始めるペースのラインがどんどん向上していき、以前はキツいと感じていたペースがキツくなくなってくる

 

これをトレーニングに組み込むとすれば、「20~30分間閾値走(テンポ走)」「クルーズインターバル(閾値ペースで行うインターバル)」などが挙げられる。

 

なお、この閾値ペースでのトレーニングを十分に積んだ選手であれば、調子を合わせたレースにおいて60分間程度(ハーフマラソンくらいまでの距離)維持することが出来る

 

数値で表せば、

VO2max(最大酸素摂取量)の83~88%

HRmax(最大心拍数)の88~92%

 

・ランナーAさん→ 3分21秒/km (VDOT 67)

・ランナーBさん→ 4分00秒/km (VDOT 54)

・ランナーCさん→ 5分12秒/km (VDOT 39)

 

⑤インターバル (Interval) ペース

 

「インターバルペース」とは“3~5分間継続できるペース”だ。

 

そして、運動強度としてはVO2max(最大酸素摂取量)と同等か限りなく近いレベルである。

代表的なもので言えば、1000m×5本といった練習の時に出すスピードと同じくらいのイメージ。

 

ちなみに、人によっては3000m×3本という練習も「インターバル」と呼んだりするが、『ダニエルズ理論』においては、3000m走は5分以上の運動になるのでそれはインターバルペースではないということになる。

※ただし、レース時など、ピーキングをした上ではこのVO2maxペースで最大11分間運動を継続できるとも述べている。

 

「インターバルペース」で走ることによって期待される効果は、VO2max(最大酸素摂取量)の向上だ。

 

まぁ、VO2maxと同等かそれに近いペースで走るわけだから当然と言えば当然だ。
VO2maxとは、人間の有酸素能力を表す重要な指標で、この数値が高ければ高いほど、酸素をエネルギーに変換する能力が高いということになる。

いわゆるマラソンランナーにおける“スピード能力”だ。

※短距離ランナーや中距離ランナー(800m~3000m)においては“無酸素能力”もスピード発揮において重要な能力である。

 

数値で表せば、

VO2max(最大酸素摂取量)の95~100%

HRmax(最大心拍数)の97.5~100%

 

・ランナーAさん→ 3分05秒/km (VDOT 67)

・ランナーBさん→ 3分41秒/km (VDOT 54)

・ランナーCさん→ 4分48秒/km (VDOT 39)

 

⑥レペティション (レペティション) ペース

 

「レペティションペース」とは、“およそ2分間継続できるペース”だ。

 

長距離ランナーの練習ペースとしては、最も強度の高いペースであり、一般のマラソンランナーにとっては、この「レペティションペース」で走ることはほとんどないと思われる。

 

この「レペティションペース」で走ることによって期待できる効果は、無酸素能力の向上、最大下スピードの向上、ランニングの経済性の向上などがある。

 

「レペティションペース」では、VO2max以上の強度で走ることになるので、有酸素能力だけではエネルギー変換を賄えない

それゆえに、無酸素運動の割合が多くなり、いわゆる“スピード強化”に繋がる。

 

ここまで聞いて、「ああ、だったら私にそんな練習いらないや」と思う人もいるかもしれないが、少し待ってほしい。

 

確かに、この「レペティションペース」はマラソンペースからかけ離れたペースであり、実践で使うことは少ないかもしれない。

しかし、スピードを高めておけば、その下の「閾値ペース」「マラソンペース」においての余裕度が拡充する

 

これは一般のマラソンランナーにとってもメリットとなり、身体の多くの機能を幅広く鍛えておくことには意味がある。

 

もちろんそれほど多い頻度でレペティショントレーニングを行う必要はないが、完全に敬遠するのではなく、たまにはレペティショントレーニングにも取り組んでみてほしい。

きっとマラソンペースで走るだけでは得られない刺激があるし、新たな気付きが得られるかも。

 

数値で表せば、

VO2max(最大酸素摂取量)の105~120%

HRmax(最大心拍数)の100%

 

・ランナーAさん→ 1分08秒/400m (VDOT 67)

・ランナーBさん→ 1分22秒/400m (VDOT 54)

・ランナーCさん→ 1分46秒/400m (VDOT 39)

 

◆Ⅲ. そのペースで走る意味を理解しよう

 

ふー

とまぁ、こんな感じでいくつもの種類のペースがあるのだ。

 

今回は6種類に分けてみたが、考え方によってはまだまだ別の分類方法はあるだろう。

 

しかし、この『ダニエルズ理論』での分類方法は広く世界中で使われており、現在に至るまで色褪せないペースゾーン理論であるので、大いに参考に値するものだと思う。

 

そして、これらの6種類のペースを使い分けることが大事で、

「このペースで走ることにより、どういった練習効果が得られるのか」

と、意識することが大事だ。

 

例えば、疲労を抜くことが目的のジョグを行う際には、遅めのペースで走るのが適している。

しかし、そこで「閾値ペース」という乳酸が貯まるほどの速いペースで走ってしまったらどうなるか。

元々の目的であった“疲労を抜く”ということが果たされず、疲労はさらに蓄積され怪我につながってしまう。

これでは本末転倒。

 

マラソン練習は、頑張れば頑張るほど良いというわけではなく計画的に、ひとつひとつの練習に目的意識を持って取り組むことが求められるのだ。

 

「そのペースで走る意味を理解する」

 

それだけで、トレーニングに対する姿勢が変わるし、トレーニング自体がきっと何倍も面白くなると思うのだ。

 

『ダニエルズ理論』をもっと学びたい方はこちらからどうぞー
(容赦なくアフィリエイトリンク貼るけど許してね)

ダニエルズのランニング・フォーミュラ第3版

ダニエルズのランニング・フォーミュラ第3版

  • 作者:ジャック・T.ダニエルズ/篠原美穂
  • 出版社:ベースボール・マガジン社
  • 発売日: 2016年03月18日

 

いや、でも本当に勉強になるから、ランナーならぜひ一度は読んでおきたい1冊

トレーニングが楽しくなるよ

 

自分の適正ペース知ってる?VDOT計算ツール活用のすすめ。『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』【解体新書①】 ◆自分の「適正ペース」知ってる? あなたは自分の「適正ペース」を知っているだろうか? もし、あなたがマラソンで目標とする記録...